収支は、人体でいえば血液の流れを意味します。これが止まったり、流れが悪くなると危機を迎えます。収支計画は、概算の総支出予算を見積もりで計上し、資金計画、収入・費用・予算を作ることから始めます。
診療所の開設に当たり種々の計画が作成されますが収支計画(資金を裏付けにした)は、最も重要な計画の一つであります。
次にそのポイントを示します。
① 資金計画の策定
最初に準備する資金の調達方法を検討する必要があります。すべてを自己資金で用意できない場合には、金融機関などから借り入れをしなければならず、その際には、担保物権や事業計画書が必要になります。長期、低利で融資が受けられるのであれば、購入の方が割安ですが、通常、開業の場合担保、保証人不足で資金融資の枠に限度がある場合が多く、その場合にはリースを利用することも必要です。
② 収入費用予算の策定
収入は、診療圏調査の結果を受けて、予想患者数に診療単価を乗じて計算します。費用は、医薬品仕入原価、医療消耗品費、従業員給料、福利厚生費、給食材料費、家賃、水道光熱費、借入利息などを概算で見積もります。一般的には、医薬品仕入は収入の20~30%、医療消耗品費は収入の1~3%、従業員給料は収入の10~20%(地域差があり注意)、給食材料費は入院患者延べ数に1日当たりの材料費原価を乗じて算出(一般的には、1,000円~1,200円程度)、福利厚生費は人件費の8~10%、その他の経費は収入の12~15%に見積もることが多いようです。
③ 計画策定時の留意点
収入と見積もりができたら、所得税や住民税、借入金の元本返済、生活費用などを考慮して収支計画を立てます。収支計画を策定するに当たり、次の諸点に留意しましょう。
イ 収入は少なめに、費用は多めに考え、堅実な計画を立てること。
ロ 設定条件を変えた3通り程度の収支計画を立てるとベターであること。
ハ 5年間の収支計画を策定する。
ニ 開業時の収支計画と開業時の実際損益計画を比較検討すること。
Q&Aの最終更新日 :2012-09-26